補助金の申請において最大の難関となるのは申請書の作成です。補助金の審査は募集回数を重ねるごとに審査が厳しくなる傾向にあり、ポイントを押さえた申請書が作れないと採択される可能性は低くなります。本記事では、補助金の申請書について、書き方のコツやチェックポイントを解説していきます。これから補助金の申請を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
補助金と助成金の審査の違い
補助金と助成金はどちらも返済義務がないという点では共通しています。しかし、両者は支給の主旨や目的が異なるため、審査のポイントや支給の仕組みにも違いがあります。以下では、補助金と助成金の審査の違いについて解説します。
補助金の場合
補助金は、経済産業省が中心となって行う給付です。各補助金は、政策に基づき一定のテーマが掲げられています。
審査においては、申請内容がテーマとして掲げられた課題を解決できる内容かどうかに着目します。また、補助金の審査は一般的にコンテスト形式で行われため、より優れた申請内容が採択されるという特徴があります。
そのため、「制度の主旨に合致しているか」「課題解決を図り付加価値を創出できる内容か」といった点を、アピールしていく必要があります。
助成金の場合
助成金は、厚生労働省が中心となって行う給付です。各助成金は、雇用創出や労働環境の改善などに対する支援を目的としています。補助金と異なり、必要要件を満たしていれば受給できるという特徴があります。そのため、申請内容の優劣よりも、申請要件や必要資料が充足しているかどうかが審査のポイントとなります。
補助金を申請する前にチェックする3つのポイント
補助金に申請する前には、チェックすべきポイントが大きく3つあります。これらの確認を行わなかった場合、補助金の受給や事業の継続が困難となる可能性があります。以下で、それぞれについて解説していきます。
制度の趣旨や目的等があっているか
補助金の申請にあたっては、申請事業が制度の趣旨や目的等に合致しているかどうかを、必ず確認する必要があります。補助金は助成金とは異なり、制度の趣旨や目的に合致した事業かどうかという視点で審査が行われます。
そのため、申請内容が優れていても、主催側の意図に合致しない場合、採択されない可能性が高くなります。
期限や難易度に問題がないか
補助金の申請にあたっては、事前に申請期限や必要な要件を確認してから、申請の可否を判断することが重要です。補助金には、申請期限や一定の要件が定められています。どんなに事業者の意欲が高くても、申請期限までの時間が足りなかったり、求められる要件の難易度が高すぎたりといった場合、よい成果を得ることは難しいでしょう。
必要な資金の準備ができるか
補助金の給付は後払いが原則です。従って、事業の遂行にあたっては、後に補助金から給付される金額を含めた資金を準備する必要があります。資金調達には、自己資金や金融機関からの融資などの方法がありますが、いずれも一定の期間を要します。
そのため、申請前には、事業遂行に必要な資金を確実に調達できる計画を立てる必要があります。
補助金の申請書を書く際に押さえておくべき3つのポイント
補助金の申請書を書く際には、押さえておくべき3つのポイントがあります。申請書へ記載する具体的な内容は補助金ごとに異なりますが、これらのポイントは全ての補助金に共通します。申請前にしっかりと確認するようにしましょう。
制度の趣旨や目的等を理解する
補助金の申請書は制度の趣旨や目的等を理解した上で作成する必要があります。形式的に要件に合致させるだけでなく、募集要項の内容を理解しポイントを押さえた申請書を作成することで、ミスマッチを防ぎ採択される可能性を高めることができます。
審査をする側の立場で考える
補助金の申請書の作成は、審査をする側の立場を意識することが必要です。申請書を読む人が内容をスムーズに理解できるよう、「誤字脱字を無くす」「文章の前後を考える」「因果関係を明確にする」「ストーリーに沿った構成にする」といった工夫が求められます。
数字で表し根拠を示すか
補助金の申請においては、計画の数字や根拠も重視されます。売上高や営業利益の見込みを記載する際には、根拠とともに数字を明確にしましょう。目標値の基準を達成する計画を作成するだけではなく、根拠を明確にしなければ信憑性のない計画を見られてしまいます。
採択される申請書の書き方のコツのご紹介
採択される申請書には、共有していくつかのポイントがあります。ここでは、採択される申請書の書き方のコツを紹介していきます。これらのポイントを押さえることで、申請書を作成する上での道筋をつけやすくなるでしょう。
公募要領から審査のポイントを読み取る
公募要領から審査のポイントを読み取り、申請書に書くべき内容を明確にしましょう。補助金の申請では、制度の趣旨や目的に沿った事業かどうかが最大のポイントとなります。募集要領のキーワードを押さえることで、まとまりのある高評価を得やすい申請書が作成できるでしょう。
読まれることを意識した書き方をする
申請書の作成では、審査員に読まれるという点を意識して書きましょう。第三者が見ても分かりやすい内容とするために、「一つの文章を長くし過ぎない」「小見出しを活用して文章にまとまりを持たせる」「専門用語を避け使用する場合は補足を設ける」などの工夫を凝らすとよいでしょう。
根拠を明確にする
申請書に記載する内容は根拠を明確にしましょう。統計資料や契約書、見積書などを活用することで、記載内容に客観性を持たせることができます。また、将来の売上見込みのような資料が用意できない場合でも、売上を確保するための具体的な施策や、それらを実施した場合に得られる客観的データを使用することで、数値に信憑性を持たせることができます。
ビジュアルを意識
申請書の作成ではビジュアルも意識しましょう。事業の仕組みや計画は、文章で記載するだけでなく、図表やフロー図などを活用して見やすいビジュアルを心掛けましょう。
疑問を残さない
申請書の作成では、疑問点は必ず残さないようにしましょう。疑問点を看過してしまうと、重要なポイントを見落としたり、意味を取り違えたりする可能性が高くなります。不明な点は必ず短容赦に確認し、理解した上で申請を進めていきましょう。
最終チェックは複数回行う
申請書が完了した際には、必ず最終チェックを複数回行いましょう。黙読だけではなく音読によるチェックも行うことで、文字だけでは分からない違和感を見つけるのに効果的です。また、第3者にも申請書を読んでもらうことで、自分では気づけなかったミスを見つけやすくなります。
申請書作成時の注意点
補助金の申請書を作成する際には、書き方以外にもいくつか注意点があります。これらの視点を取り入れることで、計画に厚みを持たせることができるため参考にしてみてください。
ビジネスとして成り立つのか意識する
申請する事業内容は、優れたアイデアであっても事業として成立しなければ採択対象となりません。「売上の見込みはあるか」「事業の実施体制は十分か」「販路や資金繰りは確保しているか」などを、計画書にしっかりと織り込んでアピールしましょう。
公募期間に注意する
補助金に公募期間が存在するため、事前にしっかりと計画を立てないと申請に間に合わない可能性があります。特に大型補助金では、申請書の記入項目や添付資料が多く、申請に時間がかかる傾向にあります。申請前の段階での入念なスケジューリングが、申請をスムーズに進めるポイントとなります。
事業開始後のことも考えておく
補助金は、採択後に事業を実施し、完了後に確定検査が行われることで最終的な交付金額が確定します。そのため、申請が採択されたら終わりではなく、確定審査までを意識し、申請内容に基づいた事業を運営していく必要があります。
「公利」も考える
補助金のような国や行政が財源となる制度では、公利の視点も重要なポイントとなります。公利とは、自社で行う事業の利益だけではなく、公共の利益になるかという考え方のことです。従って、地域経済の振興や雇用創出といって観点でのアピールが有効となります。
タイトルは工夫とインパクト重視で選ぶ
タイトルは工夫とインパクトを重視し、審査員が読んでみたいと思わせるようにすることが大切です。従って、事業内容をそのまま羅列するような書き方ではなく、過去の採択事例を参考に趣向を凝らしてみましょう。
まとめ
本記事では、補助金の申請書について、書き方のコツやチェックポイントを解説していきました。補助金の申請書は、必要事項を記載するだけではなく、審査員に分かりやすく伝える工夫も必要となります。
しかし、補助金の申請に慣れていないと、思わぬ見落としや間違いが起こることもあります。
申請に不安がある場合、補助金申請のサポートを行う専門家サービスを活用することも選択肢の一つです。プロのサポートによる申請書を作成することで、採択される可能性を高めるだけでなく、自社の事業に集中できるというメリットもあります。補助金の申請をお考えの方は、自社だけで悩むのではなく、ぜひ専門家サポートもご検討ください。