補助金の「つなぎ融資」とは、補助金が採択されたから実際に交付されるまでの間、一時的に受ける融資のことを指します。
補助金は基本的には後払いであるため、事業の実施にあたっては補助金が入金されるまでの資金繰りについても計画が必要です。本記事では、補助金のつなぎ融資が必要となる理由や、つなぎ融資を相談する相手先などについて解説していきます。これから補助金の申請を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
補助金の「つなぎ融資」とは?
補助金に「つなぎ融資」とは、補助金が採択されたから実際に交付されるまでの間、一時的に受ける融資のことを指します。ここでは、つなぎ融資の概要や必要となる理由について解説していきます。
概要
各種公的補助金は、申請した事業が終了し検査を経てから交付されるのが原則です。そのため、補助金の対象経費となる運転資金や設備資金については、当面の資金繰りが課題となります。補助金のつなぎ融資を活用することで、補助金の交付が実施されるまでの期間の資金繰り課題を解決することができます。
「つなぎ融資」が必要となる理由
「つなぎ融資」が必要となる理由は、補助金の交付が原則として後払いであるためです。補助金は申請が採択されると、即時に振込されると誤解している方も少なくありません。しかし、多くの補助金では採択後に補助事業を実施し、補助事業完了後に事務局の検査を経て補助金の交付が決定されます。a
従って、採択後は申請事業をまず実施する必要があります。そのため、申請事業の実施に際しては、必要となる資金を補助金とは別の方法によって調達しなければなりません。
補助金の「つなぎ融資」どこへ相談?
補助金の「つなぎ融資」を受けたい場合、具体的にどこへ相談すればよいのでしょうか。ここでは、補助金のつなぎ融資を相談する先として、代表的なものを5つ紹介します。
補助金申請に関わった金融機関
補助金申請に関わった金融機関は、つなぎ融資の相談先として最も多いケースです。大型補助金の多くでは、「認定経営革新等支援機関」の支援を受けて事業計画を策定することや、事業計画の認証を受けること等が要件とされています。補助金の申請段階から関与している金融機関へ相談することで、つなぎ融資の審査から実行までをスムーズに進めることができます。
補助金申請のサポートを受けた専門家
補助金の申請に際して専門家のサポートを受けている場合、行政書士や中小企業診断士などの専門家へ相談することも選択肢の一つです。専門家が、融資可能な金融機関を紹介してくれる場合もあります。
メインバンク
既に事業融資などの取引によりメインバンクがある場合、つなぎ融資をメインバンクへ相談することも選択肢の一つです。この場合、補助金申請への関与の有無を問わず、早期の段階から相談しておくと良いでしょう。
補助金のつなぎ融資に積極的な金融機関
金融機関によっては、事業融資の商品ラインナップの中に「公的補助金つなぎ融資」を設けているところもあります。事業所を営む地域内に、つなぎ融資に積極的な金融機関がある場合、こうした金融機関へ相談してみることも選択肢の一つです。
自治体の窓口
自治体によっては、補助金のつなぎ融資を行っている場合があります。事業を営む地域の自治体に該当する制度がある場合、自治体の窓口へ相談することも選択肢の一つです。自治体の制度では、連帯保証人を原則不要としていたり、金利が優遇されていたりといったメリットがあります。つなぎ融資の検討時には、自治体の制度も確認するようにしましょう。
補助金の申請サポートを専門家に依頼するメリット
補助金の申請は自社で行うことも不可能ではありませんが、専門家の申請サポートを利用することをおすすめします。ここでは、申請サポートを専門家に依頼するメリットについて紹介していきます。
つなぎ融資の必要性など含めて全体を説明してもらえる
補助金の申請サポートを専門家へ依頼することで、公募要項の内容をはじめ、つなぎ融資の必要性も含めた全体像を説明してもらうことが可能です。多くの補助金には公募要項が存在し、申請の要件や方法、交付までの流れについて記載されています。
しかし、公募要項の多くはボリュームが多く、決して読みやすいものではありません。本来の事業を運営しながら、これらの書類に目を通し理解することは大きな負担となる可能性があります。
つなぎ融資を受ける金融機関を紹介の可能性
補助金の申請サポートを行っている専門家は、資金調達全般の専門家である場合もあります。そのため、金融機関からの融資による資金調達についても、アドバイスを受けられる可能性があります。
また、専門家の人脈により金融機関の担当者を紹介してもらえる場合もあります。つなぎ融資を受ける金融機関の検討がつかない場合、専門家サポートを活用して紹介を依頼することも選択肢の一つです。
つなぎ融資以外に補助金の対象事業を実施する資金を調達する方法
補助事業の実施に伴う必要資金は、つなぎ資金以外にも調達方法があります。つなぎ融資は、補助金の入金を返済財源としていることから、金融機関にとっては比較的融資しやすい案件です。
しかし、何らかの事情によりつなぎ融資を受けることができなかった場合、以下のような方法による資金調達も検討してみましょう。
クラウドファンディングの活用
クラウドファンディングとは、インターネット上で一般個人を中心に小口資金を集める資金調達方法です。調達した資金は原則として返済義務はなく、返礼品などのリターンを設けていることが一般的です。クラウドファンディングによる資金調達には、さまざまな種類がありますが、代表的なものは下表の通りです。
なお、クラウドファンディングは一般的に、営利事業との相性はよくないとされています。そのため、クラウドファンディングの成立を前提とした資金計画はおすすめしません。あくまでも、つなぎ融資ができなかった場合の代替手段として捉えておきましょう。
まとめ
本記事では、補助金のつなぎ融資について解説していきました。補助金の交付は、後払いであることが大半であるため、採択後に事業を実施するには資金調達についても計画を立てる必要があります。
つなぎ融資は、補助金が交付されるまでの資金繰り手段として有効な選択肢の一つです。補助金の申請に際しては、つなぎ融資などによる資金繰りの他、公募要項を読み込み注意しなければならない点が多々あります。
そのため、行政書士や中小企業診断士などが提供する申請サポートを活用することをおすすめします。これらを活用することで、事業者は本業に専念できるという点も大きなメリットの一つです。