事業復活支援金は、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者向けに新設された支援金の一つです。1月18日付で公開された追加情報では、1月24日の週で事前確認の受付開始、1月31日の週に通常受付が開始ということでした。
本記事では、事業復活支援金の給付対象・給付額・申請方法などついて解説していきます。新型コロナウイルスの影響により売上が減少している事業者の方は、本記事を参考に申請を検討してみてください。
給付対象者と給付額について
ここでは、給付対象者と給付額について解説していきます。給付対象者については「新型コロナウイルス感染症の影響受けていること」「売上高が減少していること」とう2つのポイントがあります。また、給付額については「給付上限額」があります。それぞれについて解説していきます。
対象になる事業者
対象となる事業者については、「新型コロナウイルス感染症の影響受けていること」「売上高が減少していること」とう2つの要件があります。新型コロナウイルス感染症の影響には、「需要の減少による影響」と「供給の制約による影響」の2種類があり、下表のような場合が該当します。
需要の減少による影響 |
①国や地方自治体による、自社への休業・時短営業やイベント等の延期・中止その他のコロナ対策の要請に伴う、自らの財・サービスの個人消費の機会の減少 |
②国や地方自治体による要請以外で、コロナ禍を理由として顧客・取引先が行う休業・時短営業やイベント等の延期・中止に伴う、自らの財・サービスの個人消費の機会の減少 |
③消費者の外出・移動の自粛や、新しい生活様式への移行に伴う、自らの財・サービスの個人需要の減少 |
④海外の都市封鎖その他のコロナ関連規制に伴う、自らの財・サービスの海外現地需要の減少 |
⑤コロナ関連の渡航制限等による海外渡航客や訪日外国人旅行客の減少に伴う、自らの財・サービスの個人消費機会の減少 |
⑥顧客・取引先※が①~⑤または⑦~⑨のいずれかの影響を受けたことに伴う、自らの財・サービスへの発注の減少 |
※顧客・取引先には他社を介在した間接的な顧客・取引先を含む
供給の制約による影響 |
⑦コロナ禍を理由とした供給減少や流通制限に伴う、自らの財・サービスの提供に業務上不可欠な財・サービスの調達難 |
⑧国や地方自治体による休業・時短営業やイベント等の延期・中止その他のコロナ対策の要請に伴う、自らの財・サービスの提供に業務上不可欠な取引や商談機会の制約 |
⑨国や地方自治体による就業に関するコロナ対策の要請に伴う、自らの財・サービスの提供に業務上不可欠な就業者の就業制約 |
ただし、下表のような場合は給付要件を満たさず支給対象外となります。
新型コロナウイルス感染症の影響とは関係がない場合 |
①実際に事業収入が減少したわけではないにも関わらず、通常事業収入を得られない時期(事業活動に季節性があるケース(例:夏場の海水浴場)における繁忙期や農産物の出荷時期以外など)を対象月とすることにより、算定上の売上が減少している場合 |
②売上計上基準の変更や顧客との取引時期の調整により売上が減少している場合 |
③要請等に基づかない自主的な休業や営業時間の短縮、商材の変更、法人成り又は事業承継の直後などで単に営業日数が少ないこと等により売上が減少している場合等 |
また、支給対象となるいずれかの影響を受けた事業者であっても、その証左資料となる書類の追加提出を求められる場合があります。
証左資料の具体例には、自治体等の要請文、他者がコロナ禍を理由として休業・時短営業等を行ったことが分かる公表文、自らの事業との関連性を示す書類(店舗写真等)等が挙げられます。
また、売上高については、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上高が、2018年11月~2021年3月までの間の任意の同じ月の売上高と比較して50%以上又は30%以上50%未満減少した事業者が対象となります。
給付上限額について
給付上限額については、売上高の減少率と個人事業主か法人かによって異なります。下表で各ケースについてまとめます。尚、売上高については、基準月(2018年11月~2021年3月の間で売上高の比較に用いた月)を含む事業年度の年間売上高を指します。
売上高減少率 |
個人事業者 |
法人 |
||
年間売上高1億円以下 |
年間売上高1億円超~5億円 |
年間売上高5億円超 |
||
▲50%以上 |
50万円 |
100万円 |
150万円 |
250万円 |
▲30%以上~50%未満 |
30万円 |
60万円 |
90万円 |
150万円 |
申請に必要なもの
事業復活支援金の申請にあたっては、事前準備が必要なものがいくつかあります。
既に公開されている申請スケジュールに沿って、余裕を持った準備を行うようにしましょう。以下で、詳細について説明していきます。
アカウントの申請・登録
事業復活支援金の申請では、登録確認機関から事前確認を受ける必要があります。事前確認では、事業復活支援金事務局が設置予定であるウェブページにて、「申請ID」を作成し、登録確認機関へ伝えることが必要です。
また、既に一時支援金や月次支援金を受給している事業者の場合、作成済みアカウントの再使用が可能となる予定です。その他、オンラインでの申請が困難な事業者向けに、申請サポート会場の設置が予定されています。
必要書類
事業復活支援金の申請に必要となる書類については、事前に確認して揃えておくようにしましょう。
必要書類はケースごとに異なるため下表にまとめます。
書類 |
一時支援金・月次支援金既受給者(※2) |
一時・月次未受給かつ登録確認機関と継続支援関係あり |
一時・月次未受給かつ登録確認機関と継続支援関係なし |
確定申告書 |
〇 |
〇 |
〇 |
対象月の売上台帳等 |
〇 |
〇 |
〇 |
履歴事項全部証明書(法人)、本人確認書類(個人) |
〇 |
〇 |
〇 |
通帳(振込先が確認できるページ) |
〇 |
〇 |
〇 |
宣誓・同意書 |
〇 |
〇 |
〇 |
基準月の売上台帳等 |
― |
― |
〇 |
基準月の売上に係る1取引分の請求書・領収書等(※3) |
― |
― |
〇 |
基準月の売上に係る通帳等(取引が確認できるページ)※3 |
― |
― |
〇 |
(※1)上記は主な書類であり、特例を用いる場合など、別途必要書類がある場合があります。また、審査時に給付要件を満たさないおそれがある場合には、他の書類(例えば、事業を行っていることが分かる書類や、新型コロナウイルス感染症影響の裏付けとなる書類など)の提出も求める可能性があります。
(※2)一時支援金・月次支援金の既受給者は、受給時の入力データを活用することができます。
(※3)事業において通帳等を全く用いていない場合など、合理的な理由により提出ができない場合に限り、理由書(様式を提示予定)を提出することで代替することができます。
申請方法
アカウントの事前登録と必要書類の準備を終えたら、申請手続きに進みます。
ここでは、具体的な申請手順の流れと、今後のスケジュールについて紹介します。
登録確認機関から事前確認を受ける
登録確認機関から事前確認を受けるため、事務局が提供する検索機能を利用して登録確認機関を検索し依頼先を決定します。その後、登録確認機関へメール・電話にて事前確認の依頼を行います。
登録確認機関からは「事業を実施しているか」「新型コロナウイルス感染症の影響を受けているか」「対象期間の売上高が減少しているか」などのポイントについてチェックが行われます。尚、過去に一時支援金や月支援金を受給している事業者の場合、事前確認を受ける必要は原則ありません。
申請
事業復活支援金の申請は、事務局が提供する特設ウェブページへアクセスすることで行われます。
マイページにて必要事項を入力し、必要書類を添付して申請を行います。尚、通常の給付要件では受給が難しい事業者向けに、特例申請も検討されています。特例申請の対象となる事業者は下表のようなケースであり、2月中旬に申請受付開始予定となっています。
特例申請を検討中のケース
- 主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した事業者
- 2019年~2021年10月に新規開業した事業者
- 売上に季節性のある事業者
- 2018年又は2019年に罹災した事業者
- 事業収入を比較する2つの月の間に事業承継した事業者
- 事業収入を比較する2つの月の間に合併した事業者
- 事業収入を比較する2つの月の間に個人事業者から法人化した事業者
- 連結納税を行っている事業者
- NPO法人、公益法人等
事業復活支援金の、現時点で公表されているスケジュールは下表の通りです。
申請には事前準備や事前書類が必要となるため、スケジュールを確認ししっかり準備するようにしましょう。
スケジュール
1月18日 |
概要資料の公表 |
申請を検討している方等からの給付対象及び保存書類等に関する質問の募集開始 |
|
事務局コールセンター 開設 |
|
事務局ウェブサイト 開設 |
|
事前確認スキームの詳細の公表 |
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登録確認機関の登録受付の開始(4月15日まで) |
|
1月24日 |
事業復活支援金の制度詳細(申請要領、給付規程等)の公表 |
1月27日 |
事業復活支援金の事前確認の受付開始(5月26日まで) |
申請アカウントの登録受付開始 |
|
1月31日 |
通常申請の受付開始※15時以降(5月31日まで) |
2月1日 |
申請サポート受付開設(全都道府県・64会場) |
2月18日 |
特例申請受付開始(5月31日まで) |
まとめ
本記事では、事業復活支援金の概要や申請方法について、1月18日付で公表された情報に基づき解説しました。
事業復活支援金は、事業の継続、回復支援を目的としてものであり、地域や業種を問わず全国が対象です。また、現時点で受給対象とはならない事業者であっても、特例申請が決定されれば対象となる可能性もあります。
申請に際しては、公表されているスケジュールを参考に準備を進め、スムーズな申請を目指しましょう。新型コロナウイルスの影響により売上が減少している事業者の方は、事業復活支援金への申請を一度検討してみましょう。