低感染リスク型ビジネス枠とは
持続化補助金という言葉を耳にしたことがあっても、低感染症リスク型ビジネス枠については知らないという人もいるでしょう。中小企業の事業者は、これらについて詳しく把握しておくのが望ましいでしょう。特に新型コロナウイルスの影響で事業不振に陥っているなら、以下の基本事項はチェックしておきましょう。
持続化補助金(低感染症リスク型ビジネス枠)について
「中小企業生産性革命推進事業」という中小企業支援策に属する補助金制度です。中小企業をサポートすることが目的であり、持続化補助金および低感染症リスク型ビジネス枠は、新型コロナウイルス感染症の流⾏が継続している中で、中小企業等がポストコロナの状況に対応したビジネスモデルへの転換に取り組む場合に、必要な投資に対する支援をする制度です。
新型コロナウイルスによる経済的な打撃への対抗策となっています。苦難を乗り越えようとする中小企業が新たなビジネスモデルを展開するときに、それに必要な資金を支援しようとするものです。
どれくらいの採択率?
第1回目の採択率81%でした。およそ7000件の申請があり、そのうち採択されたのは5500件です。第2回は81.3%と非常に高い水準でしたが、その後の第3回は34%、第4回は29%とかなり厳しい採択率となってしまいました。
補助対象者と補助内容
条件によっては、支援を受けられるとは限らない点に注意しなければなりません。個別の事情が考慮される可能性もありますが、基本的には以下の条件を踏まえて判断すると良いでしょう。
補助対象となる小規模事業者とは
対象となる小規模事業者は主に3種類です。1種類目は卸売業や小売業などの商業であり、常時雇用しているスタッフの数は5名以下でなければなりません。6名以上である時点で要件から外れてしまうので気を付けましょう。
2種類目はホテルなどの宿泊業と娯楽業です。人数が少し多めに設定されており、常時雇用のスタッフが20名以下なら要件を満たします。
3種類目はその他サービス業であり、常時雇用のスタッフは20名以下という条件です。
補助内容について
補助内容は以下の通りとなります。
補助率:3/4
上限額:100万円
補助対象経費の1/4を上限に感染防止対策費を別途支援(最大25万円)
また以下の要件を満たした場合、特別措置の対象となります。
2021年1月以降に発令された緊急事態措置が実施された月のうち、いずれかの月の月間事業収入が2019年または2020年の同月と比較して30%以上減少している
(1)補助金総額に占める感染防止対策費の上限を1/4(最大25万円)から、1/2(最大50万円)へ引上げます。
(2)審査時における加点措置を講ずることにより優先採択されやすくなります。
申請方法について
持続化補助金の申請を行うためには、窓口である商工会又は商工会議所のサポートを受けながら事業計画を策定し、内容の確認を受ける必要があります。
基本的に持続化補助金の申請を単独で行うことは不可能です。申請手続きは、経産省の補助金申請システムのjGrantsで行うことになりますので、必要なアカウントなどをお持ちでない場合には下記のHPを参考に、事前にIDを取得しておきましょう。
システムの利用方法は公式サイトで解説されているので、事前に目を通しておくとスムーズに使い始められます。
jGrantsついてはこちら
https://jgrants.go.jp/
補助対象はどうようなもの?
どのようなビジネスが対象になるのか、あらかじめ把握しておくことがポイントになります。
今後の事業計画を練るときの参考にしましょう。
対象となる取組みは?
新型コロナウイルスのある社会でも営業していけるような取組みが対象になります。具体的には、新たな顧客の獲得につながる取組み、ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスを改善することで生産性が向上するような取り組み、感染防止対策の4点が対象になります。
販路開拓はその代表的なもので、これまでとは異なる顧客を獲得する取り組みは対象になります。ホームページを作成して公開することも該当しますし、ショップ内をバリアフリー構造にリフォームするなども該当します。
ポストコロナを想定した新たなビジネスやサービスではこれまで店内でだけ販売していた場合、デリバリーに主軸を移すような変革が該当します。予備校が通塾のスタイルから、オンライン形式に切り替えたケースも当てはまるでしょう。
新しい生産プロセスの採用も挙げられます。生産性を向上させることで、ポストコロナでも安定した生活を望めるようになるからです。さらに、感染を予防するための取り組みでは、消毒に使うアルコールを買ったり洗面所を増やしたりするなら、申請を前向きに検討すると良いでしょう。非接触型体温計を新たに導入する場合も同様です。
上記の要件の一部もしくは複数をクリアしなければならないケースがあります。
対象となる経費
対象として認めてもらえる経費は多岐にわたります。機器を買ったり改装したりする費用をはじめとして、ホームページの製作費なども対象です。プロに頼む作業があるなら、その依頼料も該当します。一方、パソコンやファックスなど、他の業務にも利用できるものは対象外になりやすいです。
まとめ
持続化補助金と低感染症リスク型ビジネス枠を早めにチェックしておくこと、実際に支援を受けるまでの流れがスムーズになります。
特に自分の業種が要件に該当するかどうか確認することが大切です。もし該当すると分かれば、どのような取り組みが対象になるのか把握しましょう。勝手に対象だと思い込んでしまうと、結果的に経営状態がさらに悪い方向に進んでしまう恐れがあります。言い換えると、正確に把握しておけば、持続化補助金を最大限に活用できるようになるのです。
日本の経済を活性化させるためにも、今後は積極的に採択していく可能性が高いと見られています。予算をすべて使うぐらいのスタンスで臨むことが見込まれるので、少しでも要件に当てはまると感じたら、チャレンジしてみることも一つの手です。
少なくとも、何もせずに廃業してしまうよりは、そちらのほうが建設的といえます。この機会に、長期的に持続させられるビジネスモデルを検討してみましょう。